リブート通信

語り部が伝え続ける理由とは ~被災地から学んだ7つの大切なこと~

この仕事は「伝えたいという気持ち」が何よりも必要です

こんにちは、リブート珠洲の篠原です。

能登半島地震から1年以上が経ち、多くの方々に復興支援ツアーへご参加いただいています。
参加者の皆さまから「ガイドの説明がわかりやすかった」「現地の声に心を打たれた」といったお言葉をいただくたびに、語り部としての役割をあらためて感じています。
私と宮口は、復興のナビゲーターであり語り部でもあります。今日は、この活動を通じて学んだ「伝えるために大切な7つのこと」について、印象に残った出来事を交えてお伝えしたいと思います。

1. 体験したからこそ語れる言葉
あの日の恐怖や混乱は、どんな資料にも記されていません。
地震の瞬間や避難所での出来事をお話しすると、参加者の方々の表情が真剣に変わっていくのが分かります。「ガイドの説明がなければ状況が理解できなかった」という感想をいただく瞬間に、「伝わった」という手応えを感じます。
体験を語る力は、人と人とを確かにつなげてくれると思います。

2. 「何かを学び取ってほしい」という願い
もちろん、私たちが経験した恐怖や苦労を、他の誰にも味わってほしくはありませんが、 それでも「実体験に基づいて防災を学べた」と言っていただけるとき、この話が誰かの役に立てているのだと実感します。
辛い経験でも、誰かの学びにつながることで少しずつ意味を感じられるようになります。

3. 一人ひとりに寄り添う姿勢
ツアーには、さまざまな立場や背景の方が参加されます。
議員の方には政策の視点から、国際研修生には世界共通の学びとして、一般の方には家庭での備えを例にお話しします。
同じ風景を見ていても質問の角度が違い、私自身も多くの気づきを得ています。
思いがけない視点から教えられることもしばしばです。

4. 難しいことを分かりやすく伝える工夫
専門用語を使えば正確ですが、理解しやすさも大切です。
例えば地盤沈下の説明では、「濡れたスポンジを押すようなもの」と身近な例えを使うと、参加者が「ああ、そういうことか」と納得してくださる瞬間があります。
「とても分かりやすかった」と言っていただけることが、何よりの励みになります。

5. 正確な知識に基づく説明
新しい知識を学ぶことは手間もかかりますが、とても充実した時間です。
地震の仕組みを調べて「そうだったのか」と驚くことも少なくありません。
専門家の方から「その通りです」と言っていただけたときには、胸の内で小さく喜んでいます。

6. 心と体の健康を保つこと
辛い体験を語るのは心身ともに負担がありますが、参加者の皆さまの温かい反応に支えられています。
夏の炎天下での案内は大変ですが、「また珠洲に来たい」と声をかけていただけると、疲れも報われます。
私たち自身が元気で楽しむ姿を見せることが、珠洲の魅力を伝える一番の方法だと思います。

7. 珠洲への愛情が伝える力になる
珠洲の魅力を語る時間は、私にとって何よりも楽しいひとときです。
穏やかな海岸線、人の温かさ、美味しい食べ物――。被災の現実を伝えることと同じくらい、「珠洲は素晴らしい場所です」と胸を張って伝えたい。
夕日に感動した参加者の笑顔を見るたびに、その思いが強くなります。
被災地と訪問者を結ぶ架け橋として、これからも新しい出会いと発見を重ねながら活動を続けていきたいと思います。

これからも、この7つの大切な心構えを胸に、宮口や他の語り部とともに珠洲の「今」と「これから」を丁寧に伝えてまいります。
皆さまもぜひ珠洲にお越しください。新しい発見と温かな出会いが、きっと待っています。

もっと見る